勤怠・労務管理

勤怠システムの選び方

勤怠システムは今や数えきれないほどの製品があり、機能も料金も実にさまざまです。いざ導入を検討すると、「どれも良さそうに見えて、結局どれが自社に合うのか分からない」という壁にぶつかりがちです。

特に運送・物流業は、ドライバーが事務所に出社しない直行直帰の働き方や、改善基準告示への対応など、一般的なオフィスワークとは異なる事情があります。汎用的な勤怠システムをそのまま入れても、現場で使いこなせなかった……というケースは少なくありません。

この記事では特定の製品をすすめるのではなく、自社に合う勤怠システムを見極めるための「選び方の軸」を整理します。

高機能なシステム=正解、ではない

最初に押さえておきたいのは、「機能が多い=良いシステム」ではないということです。どれだけ高機能でも、現場で使われなければ意味がありません。

選定でいちばん大事なのは、自社の働き方(事業所の数、雇用形態、打刻する場所)にフィットするかどうかです。まずは自社の実態を起点に考えましょう。

勤怠システムを選ぶ7つのチェックポイント

① 打刻方法が自社の働き方に合っているか

打刻方法には、PC・スマホアプリ・ICカード・GPS・生体認証などがあります。オフィス勤務中心ならPCやICカードで十分ですが、運送業のようにドライバーが直行直帰する場合は、スマホのGPS打刻など「事務所にいなくても打刻できる」仕組みが必須になります。

② 自社の雇用形態・シフトに対応できるか

正社員だけでなく、パート・アルバイト・シフト制など、複数の働き方が混在している会社は多いはずです。運送業では変形労働時間制や不規則な勤務も一般的です。自社の勤務パターンを無理なく登録・集計できるかを確認しましょう。

③ 労働時間の上限にアラートで対応できるか

2024年4月から、トラックドライバーの時間外労働は年960時間が上限となりました(一般労働者の原則は月45時間・年360時間)。加えて改善基準告示が見直され、拘束時間や休息期間の基準も厳しくなっています。

上限に近づいたら自動でアラートを出してくれるか、拘束時間まで見える化できるか——ここは運送・物流業にとって特に重要な選定ポイントです。

④ 集計・給与計算との連携

残業・深夜・休日労働を自動で集計してくれるか、使っている給与計算ソフトと連携できるかも要チェックです。ここが手作業のままだと、月末の集計や転記でミスと残業がかえって増えてしまいます。

⑤ 現場が無理なく使えるか

導入後にいちばん多い失敗が、「現場が使ってくれない」ことです。ドライバーや現場スタッフが直感的に打刻できるか、説明なしでも操作できるか。無料トライアルで、実際に現場の人に触ってもらって判断するのがおすすめです。

⑥ サポート体制・導入支援

初期設定を手伝ってくれるか、法改正のたびにシステムが自動でアップデートされるか、困ったときの問い合わせ窓口があるか。導入後に長く付き合う部分なので、軽視できません。

⑦ 料金体系と総コスト

料金は「初期費用+月額(1人あたり課金が多い)」が一般的です。人数の増減が大きい会社は、繁忙期に従業員が増えたときのコストもシミュレーションしておくと、あとから「想定より高かった」を防げます。

運送・物流業がとくに注意したいこと

ドライバーの勤怠管理は、法令遵守と賃金計算に直結します。出勤簿や手書き日報による自己申告は、手間がかかるうえ不正確になりがちで、改善基準告示の管理には限界があります。

選定時は、「拘束時間・休息期間まで把握できるか」「直行直帰・多拠点を前提に設計されているか」を意識すると、運送業にフィットする製品を見極めやすくなります。

失敗しない進め方

比較サイトの機能一覧からいきなり入ると、機能の多さに目移りして選べなくなります。おすすめの順番はこうです。

  1. 自社の困りごと(課題)を書き出す
  2. 「これは外せない」という必須要件をリスト化する
  3. 候補を2〜3社に絞る
  4. 無料トライアルで現場に試してもらう
  5. 比較して決定する

「機能で選ぶ」のではなく「自社の課題が解決できるかで選ぶ」のがコツです。

選び方チェックリスト

確認項目見るべきポイント
打刻方法直行直帰・GPSに対応しているか
雇用形態シフト制・変形労働時間制に対応できるか
法対応年960時間・改善基準告示にアラート対応できるか
連携給与計算ソフトと連携できるか
操作性現場が説明なしで使えるか
サポート導入支援・法改正アップデートがあるか
コスト初期+月額の総額を試算したか

まとめ

勤怠システム選びでいちばん大切なのは、高機能かどうかより「自社の働き方に合うか」です。とくに運送・物流業では、直行直帰への対応と、年960時間・改善基準告示といった法令対応がカギになります。今回のチェックリストを手元に、まずは自社の課題を書き出すところから始めてみてください。

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